EATPIA
外にあった目印のピュピトルが無くなってしまいました。もしかして盗まれてしまったのでしょうか?
Pupitre
ピュピトル
本来はシャンパーニュの熟成期間中に
沈殿物を取り除く作業の一環として
ボトルを逆さまにする為に使われていたもの。
井口隆之シェフ
酔っ払いが自転車で突っ込んで壊されちゃったんです。でも雨風にさらされ風化していて、そろそろ外そうかと思っていたので諦めはつきました。
EATPIA
でもオープンしてから黒板や観葉植物など外に置いてあったものが幾つもなくなっていると聞いたのを憶えています。
井口隆之シェフ
そうなんです。人通りが少なく誰も見ていないからかもしれません。
EATPIA
何故そんな人通りの少ない通り沿いに自分の店をオープンしようと思ったのですか?
井口隆之シェフ
井の頭通りという名前は知られているので、ある程度は人通りもあると思っていたのですが、ここまで少ないとは思っていませんでした。
でもコンチェルトの前に、ここに入っていたのは中華料理の店で、かなり人気があったので、少なくとも縁起の悪いような場所ではないと思い、ここに決めました。普段は運の良し悪しなど深く考えないのですが。
代々木上原
エリアの発展
EATPIA
コンチェルトが2013年にオープンした頃から代々木上原がメディアに注目されるされるようになったと思うのですが、具体的に以前と何が変わったのでしょうか?
井口隆之シェフ
具体的に代々木上原の何が変わったのか?どうして変わったのか?きっかけがコンチェルトでないということだけは確かです。
コンチェルトを開く少し前にも代々木上原で働いていたことがあり、その頃からこの街の雰囲気が好きでした。新たに大きなビルが建ったり、人の流れが大きく変わったわけではないのですが、何故かメディアの取り上げ方が変化してきたと思います。
その結果として、お洒落な店や人気のレストランが増えたのか、あるいは逆に店やレストランが増えたので、メディアに取り上げられるようになったのか定かではありませんが、間違いないのは競争が激しくなっているということです。
EATPIA
でも今までコンチェルトは全くと言って良いほどメディアに取り上げられていないですよね?なのに競争が激しい代々木上原の界隈で生き延びている。何かきっかけがあったのでしょうか?
井口隆之シェフ
オープンしてから最初の数年は苦労しました。それからも何時を境に急に売り上げが伸びたようなこともありません。特に何かをしたというよりも、日々やれることをやってきて、徐々に評価してもらえるようになってきました。
自らの役割と
可能性を具現化する
EATPIA
頻繁にメディアに登場するシェフもいますが、そういった有名シェフは何が違うのでしょうか?
井口隆之シェフ
まだまだ料理人の社会的な地位は必ずしも高くはありませんが、もしかしたら以前と比べると今はシェフがスターになれる時代なのかもしれません。
メディアに頻繁に取り上げられるシェフは、野球の選手に例えるとホームラン・バッターや最多勝を獲得するようなエースのような存在だと思います。子供の頃に野球をやっていれば誰もが憧れる選手です。でも長く野球を続けていると、自分がどんな可能性を秘めているのか、そしてそれを活かして何をしたいのかが変化しながら己の役割のようなものが明確になってきます。
自分を野球の選手に例えるなら、決してスター選手ではなく、地味ながらも器用に内野も外野も守れるユーティリティ・プレイヤーで、スタメンとしては不可欠であり、その日その時のニーズに柔軟に対応しながら活躍できるような選手でいたいと思っています。誰かの代わりとして活躍できるけど、誰も取って代われないような選手です。
そしてコンチェルトも食べること、飲むことが大好きな人たちのニーズに柔軟に対応できるような存在でありたい思っています。
EATPIA
具体的にコンチェルトはどんな感じのレストランなのでしょうか?
井口隆之シェフ
毎日のようにミシュランの星付きのレストランに通って食事をする人はいないと思います。ホームラン王のような存在のスター・シェフの料理を食べるのは大きなイベントで、何週間も前に予約を入れたり、当日はいつも以上にお洒落したりしなければいけません。
でもコンチェルトなら行きたいと思った時に行ける。着替える必要もなく、いつもと同じ服装で大丈夫です。ここは食事を楽しむための空間であって、特別な場所ではありません。食べるという日常の行為をコンチェルトという空間の中では必要以上に美化したくないと自分では思っています。
その一方で、コンチェルトに来て良かったと思ってもらえるような、細やかな感動というか喜びのようなものを、コンチェルトならではのかたちで提供できればと思っています。
ミシュラン
ビブ・グルマン
EATPIA
その気軽に美味しい料理が食べられるということをミシュランは評価してくれているわけですね。
井口隆之シェフ
嬉しいことにオープンした初年度の2013年からビブ・グルマンの印がついてミシュラン・ガイドに紹介してもらっています。
EATPIA
そう言えば最近になって、コンチェルトではオープン当初からドラピエのシャンパーニュを1杯1,100円(税込み)で飲めるということを知りました!
井口隆之シェフ
オープンする前から、多少なりとも贅沢な気持ちを楽しんでもらう為に、食前酒として飲んでもらうスパークリング・ワインはシャンパーニュにしようと思っていました。ちょっと頑張って1,100円(税込み)という価格にしているのは、少しでも多くの人に飲んでもらうことによって、常に新鮮なものを提供していけるからです。
来てくれる
人に恵まれて
井口隆之シェフ
もしかしたらオープンしてからアラカルト中心でやってきたのが良かったかもしれません。
レストランの楽しみ方を知っている人がメニューを見ながら何皿か選んでくれたり、常連の方は来る前から何をオーダーするか決めていたりすることもあります。
EATPIA
確かにコンチェルトでカウンターに座って食事をしていると代々木上原の周辺が生活圏の人と、小田急線を利用している人が途中下車して通っている印象があります。そんな日常にコロナ禍はどんな影響を与えているのでしょうか?
井口隆之シェフ
売り上げには確実に影響が出ているのですが、決して絶望的な状況ではありません。
幸いにも以前から酔って騒ぐような人はいなかったのですが、このような状況になってからは今まで以上に家族や夫婦で食事に来てくれる人が増えています。日々の生活の中で食べるという事の優先順位が高い人たちで、外食に伴うリスクを理解し、良識をもって判断し行動できる人たちといった印象です。
EATPIA
最近は、食べに来てくれる人とレストランとの信頼関係のようなものが今まで以上に大切になっているのかもしれませんね。
井口隆之シェフ
お客様が食事をして帰られる際にレストランのスタッフが「ありがとうございました!」と言うのは当たり前のことなのですが、逆に「ありがとうございました…」と声をかけてくれる人がコンチェルトには数多くいらっしゃいます。緊急事態宣言が最初に発令された頃から、その数がさらに増えたような気がします。
「開いてて良かった」「久しぶりに楽しく食事ができた」といったことだと思うのですが、お金を払ってくれる人に感謝される仕事は他にあまり無いですよね。
最初から食べながら飲みながら心地良い時間を過ごせる空間を目指してきたので、それを多少なりとも具現化できているのかもしれません。
「東京イタリアン」と
東京のイタリアンの現状
EATPIA
井口シェフのインタビューがシリーズのVol.5になるのですが、イタリア料理に携わるシェフとしては初めてになります。昨今の東京のイタリアンの現状をどう考えていますか?
井口隆之シェフ
最近はイノベーティブといった言葉で語られる料理が人気のようです。それに比べると、イタリアンは元気がないように見えるかもしれません。
しかしイノベーティブといった感じの料理とは真逆の存在である伝統的なイタリアの郷土料理は数年前から注目を集め、今では完全に定着しています。
また別の視点から見ると、最近の洗練されたフレンチとイタリアンでは、両者の違いが曖昧になってきているようにも思えます。パスタがあるのがイタリアンで、そうじゃないのがフレンチといった程度の線引きにも見受けられます。ただそんな中でも日本人がパスタを食べなくなるような事はあり得ないので、これからイタリアンは今まで以上に日常に定着して、レストランのレベルは向上していくのではないでしょうか。
その一方で、これからレストランが生き延びていくには、フレンチやイタリアン、あるいはイノベーティブといったカテゴリーの勢いではなく、個々のレストランの個性や完成度といったものが重要になっていくと思います。それは料理が美味しいということは前提であって、それだけでは十分ではないということです。
EATPIA
最近あまり聞かなくなりましたが「東京イタリアン」といった呼称がありました。これを聞くと原田シェフのアロマフレスカが思い浮かぶのですが、井口さんはアロマフレスカの出身ですよね?
井口隆之シェフ
アロマフレスカ・グループからTACUBOという系譜一筋です。
今でもそうですが、アロマフレスカは当時から人気で憧れの存在でした。でも料理人を目指して入社したのに最初の1年間はサービスの仕事をさせられてガッカリでした。今になって振り返ってみると良い経験だったと思うのですが、その経験がこれほどまでに役に立つようになるとは当時は夢にも思ってもいませんでした。
アロマフレスカの原田シェフはイタリアでの経験をもたないユニークな存在でした。それまで有名なレストランのシェフの殆どはイタリアでの経験があり、イタリア人になりきって現地で学んだ王道の料理を東京で再現しようとしていました。
一線を画す存在だったのが原田シェフです。王道のイタリア料理からインスピレーションを得ながら、日本人として国産の食材を積極的に取り入れた料理をつくり「東京イタリアン」といった言葉が誕生する大きなきっかけを1人で作ったシェフと言っても過言では無いと思います。
EATPIA
となると井口シェフの料理も東京イタリアンといった感じになるのでしょうか?
井口隆之シェフ
どちらかと言うと東京イタリアンになるのかもしれませんが、自分では必ずしもイタリアンという範疇に留まる必要はないと思っています。
何が役に立つのか
その時はわからない
EATPIA
シェフは高校を卒業してから希望の大学に進学できなかったので、あっさりと大学を諦め飲食業界に入ったと聞きました。その判断を後悔していないのでしょうか?
井口隆之シェフ
大学に行っても良かったかなと思うこともありますが、行かなかったことを特に後悔することはありません。
もしも大学に行っていれば全く違う人生を歩んでいたと思います。でも会社に就職して働き続けるのではなく、早かれ遅かれ独立して自分で何かを始めていたと思います。料理人になると決めた時も、いずれは独立して自らのレストランを開くということは考えていました。
EATPIA
かなり有名な東京の進学校に通っていたのですが、今になって役立っている何か大切なものを学んだりしたのでしょうか?
井口隆之シェフ
世間的には進学校だと思われているようですが、進路指導のようなものは一切ありませんでした。とても自由な校風で楽しかったです。その一方で、自主性が求められ「自調自考」の精神というものがありました。
EATPIA
自調自考?
井口隆之シェフ
自分で調べて、考えるということです。先生は必ずしも物事を教えるのではなく、発見を促すといった感じでした。良くも悪くも自分は自分、周りをレスペクトしながらも、必ずしも周囲に同調することが求められるよう息苦しい環境ではありませんでした。
EATPIA
高校では野球部だったんですよね?何か大切なものをスポーツから学んだりしましたか?
井口隆之シェフ
高校では野球部も自由でした。実は中学までの方が真面目に野球をやっていて、プロになった後輩もいます。厳しかったので、忍耐力のようなものは養え、飲食業界にありがちな理不尽なことに耐えるのに役立ちました!
東京の食文化
如何に進化していくのか
EATPIA
最後の質問になりますが、先ほど「必ずしもイタリアンという範疇に留まる必要はない」と話されていましたが、東京の食文化の現状を踏まえながら、これから井口シェフの料理は変化していったりするのでしょうか?
井口隆之シェフ
東京では世界中の料理を食べられ、今では家庭の食卓にも多くの国の料理が登場するようになりました。多種多様な料理が混在し、カオスといった感じではありますが、皆それを違和感なく受け入れ楽しんでいます。
自分としては、そんな東京ならではのダイナミックな食文化を、慣れ親しんだイタリアンを通して表現していければと思っています。
それは今まで何度も繰り返されてきた安直なイタリアンと和の融合といったものでも、奇を衒ったただけでもない、食べてもらって本当に美味しいと実感してもらえるものをつくり続けていきたいです。
井口シェフのレストラン「コンチェルト」に関しての詳細は以下のリンク先で見ていただけます。
https://www.eatpia.com/restaurant/concerto-yoyogiuehara-italian
Photos by Waki Hamatsu
他のインタビューは以下のリンク先で見ていただけます。
EATPIA:
I just noticed your pupitre outside is gone. Did someone steal it?
Pupitre is special hinged rack
used in the traditional Champagne method
to hold bottles at various downward pointing angles
during Remuage, the process of removing
the fermentation sediment from the bottle.
Chef Takayuki Iguchi:
A drunk cyclist careened into it and broke it. It was already weathered badly, so it was probably time to go anyway.
EATPIA:
I remember you telling me that you’ve had many display items stolen from outside since you opened Concerto.
Chef Takayuki Iguchi:
Yes. I think it is because nobody is watching. It’s a quiet street.
EATPIA:
Why did you open your restaurant on the street without traffic?
Chef Takayuki Iguchi:
The street’s called Inogashira Dori which is well known. And since everybody knew the name, I assumed it was well-trafficked. However, I was wrong.
This location used to be occupied by a Chinese restaurant. I knew the restaurant, and it did good business. And even though I am not generally superstitious, I didn't think it was an unlucky location.
Yoyogiuehara
an Area Attracting
Media Attention
EATPIA:
The neighborhood of Yoyogiuehara has been attracting media attention increasingly since Concerto opened its doors back in 2013. What do you think triggered the media attention?
Chef Takayuki Iguchi:
I have no idea. Although, I’m sure my restaurant has nothing to do with it.
I used to work in this area before I opened, and there was something about the place that appealed to me, and it hasn’t changed much since then. There has been no redevelopment project or major building construction. However, how the media covers this neighborhood has changed.
I’m not sure if we now have cool shops and restaurants thanks to increased media coverage, or vice versa. But one thing for sure, the competition among us has become fiercer than before.
EATPIA:
Interestingly, while the area and other restaurants have been covered by media, Concerto has almost never been spoken about. How has your restaurant survived without media support? Any secrets?
Chef Takayuki Iguchi:
No, the first couple of years were very tough, and I don’t think we did anything special, but gave our best day-in and day-out, then people slowly but steadily recognized we were here. After that, business started picking up.
Understanding
My Role and
Embodying the Potential
EATPIA:
Talking about media attention, there are chefs frequently spotlighted by the media. What do you think makes them deserve media coverage?
Chef Takayuki Iguchi:
Chefs have the opportunity to be as popular as movie stars and celebrities, even though the social status of chefs in general is not exactly that high yet.
I think those chefs frequently appearing in the media are like home run hitters or ace pitchers in baseball. If you played baseball when you were a child, those were players you wanted to become. However, as you continue playing, you start thinking about your potential and how to utilize it. You gradually understand what kind of position you could assume.
If I were a professional player, I wouldn’t want to be a star. Instead, I would rather be something like a utility player who is not glamorous but capable of playing more than one position. Teams have to have someone like that in their starting lineup. It’s a kind of player who can replace others, but no one can replace him.
I mean, even though I’m definitely not a star chef, I aim to be the chef capable of accommodating the needs of people who come to Concerto to eat and drink.
EATPIA:
What kind of restaurant is Concerto?
Chef Takayuki Iguchi:
Nobody goes to Michelin starred restaurants everyday. To dine at those restaurants you have to make reservations well in advance. Mostly it’s a special occasion which requires you to dress up for.
Concerto is entirely different. We’re like a regular restaurant. You don’t have to make reservations weeks in advance, or dress up. Dining out is a common activity which most people do very regularly. I don’t want to unnecessarily glamorize eating and drinking at my restaurant, but give our guests an honest, high quality dining experience they can remember.
Michelin
Bib Gourmand
EATPIA:
Concerto has been listed on the Michelin Guide as one of Bib Gourmand restaurants for serving quality food at affordable price.
Chef Takayuki Iguchi:
Yes, I’m very grateful for that. We’ve been listed since we opened way back in 2013.
EATPIA:
I did not know until recently that you offer a glass of Champagne at a very reasonable price of ¥1,100. Even better, it’s Champagne Drappier! It’s not easy to find a restaurant offering Drappier by the glass priced that reasonable.
Chef Takayuki Iguchi:
When I was opening Concerto, I decided to offer Champagne instead of ordinary Italian sparkling wine by the glass in order to make our guests feel special. I also decided to price it as affordable as possible so that people would actually drink it. That way, I thought, we would be able to constantly open new bottles without worrying about the wine spoiling.
Blessed with
Good Guests
Chef Takayuki Iguchi:
It seems our regulars enjoy our à la carte menu. They go through the menu and order dishes which pique their appetite. Some of them even know what they are going to eat before they arrive here.
EATPIA:
Every time I come here I see diners who are obviously regulars. I assume they live around Yoyogiuehara or other areas along the Odakyu line. How do you think COVID-19 is impacting their lifestyle and your business?
Chef Takayuki Iguchi:
It is definitely impacting our business. But, thankfully we are doing ok.
Interestingly, I’ve started seeing our guests coming in with their family members, instead of with friends. I guess dining out is one of their family priorities, even under the current circumstance. It seems, understanding there is risk, they make a conscious decision to dine out or not.
Fortunately, we have a lot of good customers and haven’t had any issues to date.
EATPIA:
Mutual trust between a restaurant and its guests has become more important than ever now.
Chef Takayuki Iguchi:
Yeah, we’ve always said, “Thank you” to our guests when they are leaving. And, some reciprocated when they left. However, interestingly we noticed increasingly more guests thanking us now, than before COVID-19.
I think they were simply glad that there was a place open for them to eat where they could enjoy dinner with their family or friends under these unusual current circumstances. It’s very unique that a paying customer is thanking someone that they’ve paid for a service.
‘Tokyo Italian’
and Italian Food
in Tokyo
EATPIA:
This interview is volume 5 of our interview series. However, our first with a chef of an Italian restaurant. What are your thoughts on the current landscape of Italian food and restaurants?
Chef Takayuki Iguchi:
Recently, a relatively new category which is often called ‘innovative’ is attracting attention. Compared to this newly emerging category, Italian food might seem static.
Italy’s regional cuisines with a long history are precisely the opposite of so-called innovative cuisine. But, it was Italy’s regional cuisines receiving attention before the innovative cuisine came. And, those Italian restaurants serving regional cuisines are still very popular.
I also noticed that the borderline between French and Italian restaurants is becoming blurred. If a restaurant has pasta dishes on the menu, it would be considered Italian. If not, it would be French.
People eat French cuisine and something called innovative. But, I don’t think we will ever stop eating spaghetti or other types of pasta. Italian food has already established itself as a part of daily life in Japan.
Having said that, I no longer think categorization of food is what creates the popularity of a restaurant. Instead, a restaurant must have a clear character and establish itself in the market to survive and prosper. Serving tasty food is a prerequisite, but a restaurant needs to be more than good food.
EATPIA:
There used to be something called Tokyo Italian. Every time I hear this term, I remember Chef Harada’s Aroma Fresca. You are an alumnus of this restaurant which was closely associated with the term Tokyo Italian.
Chef Takayuki Iguchi:
Yes, I worked there. And, I also worked at Tacubo which is a pedigree of Aroma Fresca. I wanted to work there as it was such a popular restaurant. I was very fortunate to get a job. But, I remember I was disappointed when I found out I had to start working as a service staff. Back then, I had no idea this experience would eventually help me and make a big difference in my career.
Aroma Fresca’s Chef Harada was very unique as he didn’t have any experience in Italy. All other famous chefs in that generation had some sort of experience in Italy and were trying to recreate what they’d learnt there here in Tokyo.
Chef Harada was one of a kind. He was drawing inspiration from authentic Italian cuisine, but not afraid of using Japanese ingredients at the same time. I can confidently say he almost single handedly established the category, Tokyo Italian food.
EATPIA:
Can we call your dishes Tokyo Italian?
Chef Takayuki Iguchi:
I think you can. But, I don’t want to be stuck in that category, or any other categories.
You Never Know
How Your Experience will Help
EATPIA:
I heard you decided to work in the restaurant industry because you weren’t able to go to the college you wanted to attend. Do you regret that decision?
Chef Takayuki Iguchi:
I sometimes think it would have been interesting if I went, but it’s not a big regret.
One thing for sure is that my life would have been entirely different if I did. However, no matter what I would have done, I would have started my own business, it just ended up being in food. When I started working at Aroma Fresca, I knew I would eventually open my own restaurant.
EATPIA:
You went to an elite private high school which is known for turning out students moving on to prestigious universities. What did you learn there?
Chef Takayuki Iguchi:
It seems it is considered an elite school. However, there was not a special guidance counseling program to help us move on to college. Instead, we have something like a mantra, jicho-jikou.
EATPIA:
Jocho-jikou?
Chef Takayuki Iguchi:
It basically means you have to proactively learn things by thinking about things. Our teachers weren’t there to teach us, but to guide us through discovering something new. We didn’t have strict rules of conduct, either. The school had a very relaxed atmosphere.
EATPIA:
You were on the baseball team. Did you learn anything from baseball?
Chef Takayuki Iguchi:
As you can imagine, my school's team was very relaxed, we weren’t like other teams. However, a little league teammate went on to become a professional ball player.
Before going to high school, I was a very devoted baseball player. I feel baseball taught me the importance of perseverance through playing. It’s definitely helped my career in this industry.
How Our
Culinary Culture
will Evolve in Tokyo
EATPIA:
This is our last question today. you said you don’t want to get stuck or categorised in your cooking. Therefore, how do you think your dishes will evolve?
Chef Takayuki Iguchi:
You can enjoy an extremely wide range of food in Tokyo. People eat food of all different nationalities, even at home. Those different types of foods are all mingling and coexisting together. It might seem chaotic, but it is well accepted.
I would love to express this very dynamic food culture through my dishes. But, it can’t be too eccentric or confusing, it has to me something really tasty.
English text edited by Craig Atkinson.
For more information about Chef Takayuki Iguchi and his restaurant Concerto, please follow the links below.
https://www.eatpia.com/restaurant/concerto-yoyogiuehara-italian
If you are interested in reading any of our previous interviews, you can also find them at the link below!
https://www.eatpia.com/interviews